キム・ウソクさんは、誠実な若者と、周囲を傷つける未熟な人物の両方を演じてきた韓国の俳優です。『軍検事ドーベルマン』のノ・テナム役から知った方には、時代劇『禁婚令 ー朝鮮婚姻禁止令ー』で見せる立場の違いも楽しめます。ここでは、2017年にウェブドラマでデビューし、MeloManceのキム・ミンソクさんを兄に持つ俳優のキム・ウソクさんについて、代表作と近況を紹介します。
代表作と役柄
権力に守られた青年
2022年の『軍検事ドーベルマン』では、裕福な家に育ったノ・テナムを演じました。軍の不正に向き合う軍検事たちを中心とした物語で、テナムは金や権力を背景に問題を起こす側の人物です。母親ノ・ファヨン役はオ・ヨンスさんが担当しました。
テナムを理解するうえでは、他人に対して力を振るう立場と、母親の支配の下に置かれる立場の両方が重要です。一方の関係では強く出られても、別の関係では自由になれない。だからといって、彼が他者を傷つけた責任がなくなるわけではありません。背景を知ることと、行為を正当化することを分けて見られる人物です。
キム・ウソクさんは2022年4月のインタビューで、初めて悪役に取り組んだことと、自分とは違う姿を見せたいと思ったことを語っています。本人に似ている点を探すだけでは役をつかめず、監督と話しながら取り組んだという説明は、穏やかな役柄からの変化を知る手掛かりになります。
物語は軍の階級や組織の力を扱うため、人物間の上下関係を追うのが好きな方に向いています。刺激の強い出来事も含む作品なので、明るい青春劇を求めるときより、権力と責任をめぐるサスペンスを見たいときの候補です。
思いを胸に置く武官
2022年から2023年にかけて韓国で放送された『禁婚令 ー朝鮮婚姻禁止令ー』では、義禁府の武官イ・シノンを演じました。妻を亡くした王イ・ホンが婚姻を禁じている国で、結婚詐欺師ソランが王宮へ入り込むロマンス時代劇です。
キム・ヨンデさんが王を、パク・ジュヒョンさんがソランを演じます。シノンはソランを守る立場にあり、彼女にかつての婚約者の面影を感じる人物。王とソランの関係が変化する中で、自分の気持ちをそのまま表に出せない事情も抱えています。
2023年1月の取材で、キム・ウソクさんは、自分の片思いの経験を役作りの手掛かりにしたと明かしました。本人は好意を伝えるほうだが、シノンは簡単には感情を出さない人物だと捉え、気持ちを抑える場合を考えたという説明です。俳優自身の性格を役へそのまま重ねるのではなく、違いを意識していたことが分かります。
恋愛が自由にできない設定だからこそ、人を守る行動と、思いを伝える行動の違いが意味を持ちます。歴史上の出来事を学ぶための正統派時代劇というより、宮廷を舞台にした恋愛と喜劇を楽しみたい方に合う作品です。
慎重な警察大学生
2022年の『キミと僕の警察学校』では、警察大学の新入生ソ・ボムジュを担当しました。将来警察官になることを目指す若者たちの、恋愛や挑戦を描いた青春ドラマです。
ボムジュは、真面目で準備を怠らない人物として紹介されています。その一方で、考えすぎたり、心配が先に立ったりするところもあります。誠実さや慎重さが、いつでも行動の速さにつながるわけではない。その少し不器用な部分も、人物を追ううえでのポイントです。
すでに職業人として完成した警察官ではなく、これから経験を積む学生なので、仕事を学ぶ過程と、同世代の人間関係を同時に楽しめます。仲間の中で自分は何ができるのか、どんな判断をするのか。捜査そのものだけでなく、将来を目指す若者の群像劇として見ると入りやすいでしょう。
同じ2022年のテナムとは、人物の持つ力の種類が大きく違います。家の力に守られる人物と、自分の努力で進もうとする人物を続けて見ると、キム・ウソクさんの役柄を一つのイメージへ絞らずに楽しめます。
ウェブドラマからの歩み
ドラマでの出発点は、2017年の『恋愛プレイリスト シーズン2』です。2023年の聯合ニュースの取材では、カメラの前で演じる経験から、大きな喜びを感じたと振り返っています。その後、テレビドラマや配信作品へ出演を重ねていきました。
2018年の『ボイス2 ~112の奇跡~』、2019年の『ボイス3 ~112の奇跡~』にも出演しています。緊急通報を扱う捜査ドラマへの参加を経て、2022年には青春劇と軍を舞台にした作品、さらに宮廷ロマンスへと活動の場を広げました。
この歩みを、単に明るい役から暗い役へ変化したと捉える必要はありません。異なるジャンルで、集団の一員、問題を起こす人物、誰かを守る人物を担っていることが大切です。同じ時期に公開された作品同士にも違いがあるため、一作品を見て感じた印象を、次の作品で確かめ直す楽しみがあります。
『禁婚令 ー朝鮮婚姻禁止令ー』のように恋愛の関係が中心になる作品では、相手に近づく理由が人物理解につながります。警察大学が舞台なら、仲間と同じ目標を持ちながら、取り組み方が違うことに注目できます。出演歴を順番に追うだけでなく、関心のある人間関係から選べる経歴です。
役作りの違いを知る
キム・ウソクさんのインタビューから分かるのは、すべての役を自分の経験だけで説明しようとしているわけではないことです。シノンには片思いの記憶を手掛かりにし、テナムには自分とは違う人間として向き合う必要がありました。役によって、近づく方法が異なると捉えられます。
見比べる際には、感情の強さだけでなく、その感情を行動に変えられる立場かどうかに注目すると分かりやすいでしょう。恋愛を抑える武官、心配しながら準備する学生、権力を利用する青年。それぞれ、自分の願いと周囲の人の関係が違っています。
だからこそ、善良な役を演じた経験と悪役への挑戦を、単純な優劣で並べる必要はありません。誰に共感できるか、誰の行動を理解しにくいかが変わること自体が、複数の出演作を追う面白さです。
兄と共演者について
兄は、MeloManceでボーカルを務めるキム・ミンソクさんです。2022年4月の聯合ニュースの取材では、いつか自分の出演作品のOSTを兄に歌ってほしいという希望を話しました。兄の歌声と自分の出演場面が重なることへの期待を語った、仕事にもつながる家族のエピソードです。
同じ取材では、母親役を演じたオ・ヨンスさんが現場で親しく接してくれたことも明かしています。役の上では厳しい母子関係でも、撮影現場での関係まで同じとは限りません。登場人物と俳優本人を分けて知ることができる話でもあります。
近況は医療ドラマ
2026年10月25日時点で確認できる活動は、韓国SBSで10月9日から放送されている『ドクターX ~白衣のマフィア~』への出演です。キム・ウソクさんは、インターンのパク・テギョンを演じています。キム・ジウォンさんが演じる外科医ケ・スジョンらとともに、病院を舞台にした物語へ参加しています。
警察大学生に続き、専門職の現場で学ぶ立場の人物を演じている点に注目できます。ただし、学校と病院では、周囲の人の経験や、判断が及ぼす範囲が異なります。医師たちとの関係の中で、テギョンがどのように現場へ関わるのかを追うと、新しい役の位置が見えてきます。
スジョンに加え、イ・ジニさんが演じる麻酔科医チョ・ウォンジンとの関係も作品の一部です。若い人物を中心に見たい方にも、経験を重ねた医師との関わりに興味がある方にも、新作から出演歴をたどる入り口になります。
好みから選ぶ一本
恋愛の切なさを楽しみたい方には『禁婚令 ー朝鮮婚姻禁止令ー』。気持ちを伝えにくい立場の人物に関心があると、シノンの位置が分かりやすくなります。仲間との成長や、真面目な若者の不器用さが好きなら『キミと僕の警察学校』が候補です。
一方、人物の好ましくない面も含めて追うドラマを求めるなら、『軍検事ドーベルマン』が向いています。明るい役でキム・ウソクさんを知った方にも、役の背景と行動を分けて考える経験になるでしょう。
キム・ウソクさんの代表作は、同じ若者でも、自由の持ち方や人との関わり方が大きく異なります。恋愛、成長、社会派サスペンスから気になる一本を選ぶと、次の作品へ進む楽しみも広がります。
