チョン・ソヨンさんは、コメディからホラー、恋愛ドラマまで、異なる世界で役柄を重ねている韓国の俳優です。代表作として知っておきたいのは、初主演作『キリゴ』、ジェニー役で出演する『ユミの細胞たち3』、記者役を務める『伝説のキッチン・ソルジャー』の3作です。
2025年にドラマデビューしたばかりですが、短い間に明るい日常劇と緊張感のある作品の両方を経験しています。韓国語での名前表記は「전소영」。出演作品と役名を合わせて知ると、同じような日本語表記の俳優との違いも分かりやすくなります。
最初に知りたい3作
『キリゴ』
2026年のNetflixシリーズ『キリゴ』で演じるのは、陸上競技の有望選手である高校生ユ・セアです。願いをかなえるというアプリを使った若者たちに、死の危険が迫るホラー作品。セアは、友人たちとともに不可解な出来事へ立ち向かう物語の中心人物です。
チョン・ソヨンさんにとって、初めて主演を務めたドラマでもあります。2026年4月のインタビューでは、オーディションで渡された場面だけでは、作品がホラーであることも、自分が挑む役が主人公であることも分からなかったと振り返りました。
セアは恐怖にさらされるだけの人物ではなく、もともと運動を続けてきた高校生です。そのため、演技の準備には台本を読むことだけでなく、アクションスクールでの練習や陸上のトレーニングも含まれていました。動ける体を作ることが、人物の日常を考える作業と結び付いています。
ホラーでは、声や表情だけでなく、逃げる、踏ん張る、相手に近づくといった動作も緊張感を生みます。セアが陸上選手であることを知って見ると、危険に向き合う体の動きにも、その人物らしさを探せるでしょう。
また、セアと友人たちの関係は、恐ろしい出来事が起きる前から続くものです。超常的な現象だけを追うのではなく、普段のつながりが危機の中でどう変わるかに注目すると、若者たちを主役にした物語としても楽しめます。
強い恐怖描写を含む作品なので、気軽な青春ロマンスとは鑑賞の気分が違います。緊迫した物語の中で、主演として長く人物を追いたい人に向く一作です。
『ユミの細胞たち3』
『ユミの細胞たち3』では、主人公ユミと親しい年下の知人、ジェニーとして登場します。キム・ゴウンさん演じるユミが、キム・ジェウォンさん演じるシン・スンロクに彼女を紹介することで、人物同士の関係に新しい動きが生まれます。
ジェニーは、ユミの補助作家であるナヒとは別の人物です。ナヒを演じるのはチョ・ヘジョンさん。シーズン3で初めて会う人物が複数いるため、仕事のつながりと、ユミの私生活に関わるつながりを分けて見ると整理しやすくなります。
このシリーズの特徴は、口に出した言葉と本人の心の中が、必ずしも一致しないところにあります。人を紹介するという普通の行動にも、その時点の迷いや遠慮が隠れていることがある。ジェニーの登場は、そのようなユミとスンロクの気持ちを考えるきっかけになります。
『キリゴ』が自身の危機に立ち向かう主人公の役なら、こちらは主人公二人の関係に外側から関わる役です。出演量だけで比べず、その人物が登場することで誰の気持ちが見えやすくなるかに注目すると、役割の違いを楽しめます。
ジェニーとの出会いの後に二人がどのような選択をするかは、ドラマで確かめたいところです。ここでは結末に踏み込まず、恋愛の言葉と本音のずれを見るための人物として覚えておくとよいでしょう。
記者としての再会
『伝説のキッチン・ソルジャー』では、チョン・ミナ役で出演しています。パク・ジフンさん演じるカン・ソンジェが、特殊な能力を得て炊事兵として成長する、料理と軍隊を組み合わせたコメディです。
ミナは、ソンジェと同じ地域で育った知り合いで、記者として彼の前に現れます。取材という仕事上の出会いでありながら、二人の間には昔からの関係がある。この二つの距離が重なる人物です。
2026年5月に公開された第4話では、取材の場へ向かったソンジェがミナと再会します。軍隊の中で新しい立場を得ていく主人公に対し、以前の彼を知っている人が現れるため、部隊内の人間関係だけでは見えない一面が加わります。
ミナを演じる際の面白さは、記者という肩書きと、昔から知る相手への親しさを、同じ人物の中で見られることです。ソンジェの能力や料理の成果を追いながら、彼が誰とどのような時間を過ごしてきたかにも目を向けてみてください。
ホラーの緊張が苦手でも、仕事や仲間とのやり取りを楽しみたい人には入りやすい作品です。『キリゴ』で初めてチョン・ソヨンさんを知った人にとっては、役の雰囲気を変えて見る機会にもなります。
デビューからの歩み
ドラマデビュー作は、2025年の『キック・アゲイン~チ・ジニと愉快な仲間たち~』です。かつて人気を集めた俳優とプロデューサーがコンテンツ制作会社を立ち上げ、再起を目指すオフィスコメディで、チョン・ソヨンさんは若手作家のカ・ジュハを演じています。
ジュハは、個性の強い人々が集まる会社の一員です。作品全体には、仕事で結果を出そうとする奮闘と、職場で生まれる恋愛の両方があります。最初のドラマから、会話のやり取りや複数の人物が集まる場面を経験してきたことが分かります。
2025年2月の制作発表会では、ジュハの明るくはつらつとした性格について話しつつ、ペク・ジウォンさんが演じる、カリスマ性と秘密めいた部分を持つ人物にも挑んでみたいと語っています。デビュー時点から、自分の役とは違う性格にも興味を持っていた様子がうかがえます。
同じ2025年には『バニーとお兄さんたち』にもハン・ヨルム役で出演。翌2026年の『オナー ~彼女たちの法廷~』では、ハン・ミンソ役を務めました。明るい青春の世界から、深刻な事件に関わる人物へと出演作の幅を広げています。
法廷劇で見せる別の顔
『オナー ~彼女たちの法廷~』は、イ・ナヨンさん、チョン・ウンチェさん、イ・チョンアさんが演じる女性弁護士たちを中心にしたミステリーです。ハン・ミンソは、彼女たちが追う事件の被害者として、法律事務所の人々と関わります。
ミンソには物語の核心と結び付く事情があるため、詳しい背景を先に知りすぎないほうが展開を楽しめます。保護する側とされる側の関係、相手を信じたい気持ちと不安が交わる人物として見ると、弁護士たちとの場面を追いやすくなります。
ジュハのような職場の明るい人物と比べると、周囲の人に簡単には言えないことを抱える役には、異なる緊張があります。出演順に追えば、コメディから法廷ミステリー、初主演のホラーへと、経験してきたジャンルの広がりが見えてきます。
共演者と役への準備
チョン・ソヨンさんは、役の準備についてインタビューで具体的に話しています。『キリゴ』では、共演のペク・ソンホさんと陸上の訓練に取り組み、競技者らしい体の使い方を学びました。画面上の運動能力を、普段の体の動きから作ろうとした取り組みです。
初主演への不安があったときには、キム・ゴウンさんにも助言を求めたと語っています。主演としての姿勢や、同世代の人物を描いた作品を見ながら表情や感情を考えることなど、経験のある共演者の言葉が支えになりました。
こうした話から見えてくるのは、役を一人で完成させようとするのではなく、周囲の人に相談しながら準備を重ねる姿です。見た目の変化だけでなく、動作、感情、現場での向き合い方まで考えている点が、出演作を知る手掛かりになります。
2026年の活動と受賞
2026年10月25日時点で確認できる活動では、複数のドラマ出演に加え、10月10日に開催された第17回コリアドラマアワードでの新人賞受賞があります。受賞者一覧には『キリゴ』での活動とともに、チョン・ソヨンさんの名前が記されています。
デビューから間もない時期に初主演を経験し、その作品が受賞へとつながったことは、これまでの歩みを知るうえで分かりやすい節目です。今後については、本人が時代劇や本格的なロマンスなど、さまざまなジャンルに挑戦したいと話しています。
まず一作選ぶなら、主演としての挑戦を見たい人には『キリゴ』、恋愛を中心に楽しみたい人には『ユミの細胞たち3』がおすすめです。料理と仕事の物語なら『伝説のキッチン・ソルジャー』、デビュー時の明るい役へ戻るなら『キック・アゲイン』へ。それぞれの人物が置かれた状況を比べながら、チョン・ソヨンさんの歩みをたどってみてください。
