チョ・サングさんは、『野人時代』のシラソニ役や、『テプン商事』のペク運転手役で知られる俳優です。激動の時代に生きる人物と、商売の現場で働く人物という、異なる立場からドラマに関わっています。
出演作を選ぶなら、役柄をまとまった時間で追いたい方には『野人時代』、近年のドラマでの登場を知りたい方には『テプン商事』が入口になります。二つの作品と、本人が語った役作りへの考えを紹介します。
二つの出演ドラマ
『野人時代』
『野人時代』は、キム・ドゥハンの人生を軸に、韓国の近現代史を描く大河ドラマです。韓国では2002年に放送が始まり、長い時代の変化と、その中でぶつかり合う人々をたどります。
チョ・サングさんが演じるのは、物語の後半に登場するシラソニです。腕力で存在を示す人物ですが、俳優本人は、戦う場面の外にある庶民的な面や、笑いにつながる部分にも関心を寄せていたと語っています。
この発言を手掛かりにすると、シラソニを強い人物という一点だけで捉えずに見られます。争いの場にいる時と、人の輪に加わる時の人物像を比べることが、役を理解する入口になるでしょう。
歴史の流れと人物関係を時間をかけて追う作品が好きな方に向いています。シラソニは物語の初めから中心にいる役ではないため、キム・ドゥハンを取り巻く世界を知ったうえで登場を迎えると、その立場を捉えやすくなります。
『テプン商事』
『テプン商事』は、1997年の通貨危機に直面した貿易会社を舞台に、若い社長カン・テプンの成長を描きます。チョ・サングさんは、トレーラーを運転するペク運転手として出演しています。
会社の事務所だけで仕事が完結するわけではなく、商品を運ぶ人や預かる人も商取引に関わっています。ペク運転手は、そうした物流の側からテプンたちの仕事に接する人物です。
相手の事情を受け止め、自分にも負担のある選択をすることがあるという点に、この役の意味があります。何が起こるかを先に知るより、テプンの言葉に周囲の大人がどう応じるのかを追うと、商売と人間関係の両方を楽しめます。
大河ドラマとは異なり、主人公が仕事を覚えていく過程に関わる出演です。働く人々の協力や、危機の時に交わされる信頼に関心がある方に合う作品です。
シラソニという転機
『野人時代』についてチョ・サングさんは、それまで短い出番で強い印象を残す役が多かったのに対し、シラソニでは日常的な側面を演じる余地があったと説明しています。監督とも、戦う時以外の人物像を生かす方向を共有していたそうです。
役の激しさだけで俳優の特徴を決めつけずに見るうえで、大切な言葉です。強い印象を与える役を演じながら、普通の人として理解できる面を探るという考え方がうかがえます。
本人は同作を通じ、それまでとは異なる幅広い世代から声をかけられるようになったとも話しています。『野人時代』を経歴の中の転機として見ることには、こうした本人の振り返りという根拠があります。
立場の違いを楽しむ
シラソニとペク運転手は、同じ種類の役ではありません。前者は近現代史を背景とした対立の中に置かれ、後者は商品の移動を支える仕事を通じて主人公と関わります。
二つを見比べるなら、物語の中で何を求められている人物なのかを意識するとよいでしょう。争いの当事者であることと、困難な状況の相手に応じる立場にいることでは、人物を理解するための手掛かりも変わります。
チョ・サングさんの役柄を深く知るなら『野人時代』から、身近な仕事と人情の物語を選びたいなら『テプン商事』から。興味のある時代と人間関係を入口にすると、出演場面が持つ意味に近づけます。
