クォン・ハンソルさんは、現代の病院を舞台にしたドラマから、物語の世界に入り込む時代劇ファンタジー、1990年代の家族と仕事を描くドラマまで、異なる舞台で役柄を重ねている俳優です。『テプン商事』のオ・ミホが気になった方は、それ以前の出演作に進むと、人物の立場も作品の雰囲気も違う役に出会えます。
出演歴の入り口にしたいのは、『今日もあなたに太陽を』、『主役の初体験、私が奪っちゃいました』、『テプン商事』の三作です。役の設定に加え、本人がインタビューで語っている準備を知ると、作品を選ぶ具体的な手がかりになります。
出演作を知る三つの窓
病棟の人間関係
2023年の『今日もあなたに太陽を』では、チョン・ハラム役で出演しています。精神科病棟にやってきた看護師チョン・ダウンを中心に、患者と医療スタッフの関わりを描くドラマです。主演を務めるのはパク・ボヨンさんです。
この作品は、同じ病棟で出会う人々にも、それぞれ異なる背景があることを描きます。クォン・ハンソルさんの出演をきっかけに見る場合も、一人の人物の印象だけを先に決めず、誰とどのような関係で物語に加わるのかを確かめながら見るとよいでしょう。
後の『テプン商事』とは舞台が異なりますが、複数の人物の事情が交わる作品という共通点があります。出演者だけを追う見方から少し広げ、主人公の周囲にいる人が、物語にどんな視点を加えるのかに注目する入り口になります。
物語のヒロイン
2025年の『主役の初体験、私が奪っちゃいました』では、チョ・ウネを演じました。現代の女子大生が、ロマンス小説の脇役の体に入り込んでしまうファンタジーです。ソヒョンさんがチャ・ソンチェクを、オク・テギョンさんがイ・ボンを演じています。
ウネは、その小説の世界で本来ヒロインとなる人物です。ところが、外から来た人の行動によって、物語は予定された筋道とは違う方向へ動き出します。ウネを知るには、本人の性格だけでなく、「もともとの物語ではどんな立場だったのか」という設定を押さえることが役立ちます。
一人の主人公を応援するだけでなく、その変化が周囲の人物に何をもたらすかを考えられるのが、この役に注目する面白さです。物語の後半を先に説明せず、ウネが変わっていく状況を本人と一緒に知っていく見方が向いています。
ミソンの妹ミホ
『テプン商事』では、キム・ミンハさん演じるオ・ミソンの妹、オ・ミホを演じました。ミホは率直で、自分の思いをはっきり示す人物です。会社の物語だけでは見えない、ミソンの家庭での立場を知るうえでも大切な役になっています。
姉妹という関係には、親しさと、それゆえに遠慮なくぶつかれる距離の近さがあります。ミホを単に姉に守られる妹として見るより、姉とは別の考えや希望を持つ人物として見ると、家族の場面にも関心が向きます。
舞台は1997年の経済危機に直面する韓国です。仕事や進路の見通しが揺らぐ時代であっても、若者には自分の将来への希望があります。会社を背負う人物と、家庭からその変化に触れる人物を並べて見ることで、作品が描く生活の範囲も広がります。
本人が語る役作り
初めての時代劇
クォン・ハンソルさんは、2025年7月のインタビューで、『主役の初体験、私が奪っちゃいました』が初めて演じる時代劇だったと語っています。経験のない時代の人物に近づくため、衣装を着たときの姿や、話す際の態度に関心を向けて準備したそうです。
具体的には、パンソリの映像や、韓服を着る人の動きを調べたと説明しています。単に古い時代の衣装を身につけるだけでなく、そこで暮らす人物の動作を考えようとした取り組みとして受け取れます。
この話を踏まえて見るなら、ウネの役割だけでなく、現代劇の人物とは異なる生活の仕方にも目を向けられます。もちろん、準備の内容を知ることと、演技の印象を一つに決めることは別です。本人の言葉を手がかりに、自分がどの部分に人物らしさを感じるかを確かめてみてください。
妹の気持ちを考える
『テプン商事』の放送終了後のインタビューでは、ミホのぶっきらぼうな態度と、家族を思う気持ちをどう両立させるかが語られています。クォン・ハンソルさんは、感情が動く場面でも、ミホらしさから離れないようにすることを意識したと説明しました。
この役作りの説明は、性格を一言で片づけずに人物を見るヒントになります。相手を大切に思っていても、その思いをいつも素直に示すとは限らない。外に見える態度と、家族に対する気持ちの関係を追うことで、姉妹のやり取りを違った角度から受け止められます。
また、1990年代の装いについては、監督や衣装・メイクの担当者と相談し、華やかさの程度を調整したと話しています。時代の再現に加え、ミホ自身がおしゃれを好む人物であることが、役の外見を考える手がかりになっていました。
役柄の違いを比べる
チョ・ウネとオ・ミホを比べると、主人公との距離の違いがよく分かります。ウネは物語の筋道そのものに関わる立場にあり、ミホは姉の生活を家庭の側から知る人物です。どちらも誰かのそばにいる役ですが、関係の意味は同じではありません。
ウネを見るときは、物語の世界が変わることで本人に何が起きるのかを追えます。ミホを見るときは、姉とは違う希望を持つ家族として、近い関係のなかでどのように気持ちを示すかに注目できます。主人公との関係を軸にすると、役柄の差が整理しやすくなります。
2023年の病院を舞台にした作品から、2025年の時代劇ファンタジーと家族・職場のドラマへ。出演年を追うだけでなく、人物が暮らす場所や時代を比べると、クォン・ハンソルさんの役の広がりを知ることができます。
次に見る作品を選ぶ
『テプン商事』のミホから関心を持った方には、『主役の初体験、私が奪っちゃいました』がおすすめの候補になります。現代の日常から離れた設定で、主人公と別の関係を持つ役に出会えるためです。
医療現場を舞台にした群像劇が好きなら、『今日もあなたに太陽を』を選べます。クォン・ハンソルさんの出演を入り口に、主人公の周囲で生きる人々へ視点を広げてみてください。
そして『テプン商事』を見る際は、ミホをミソンの妹という紹介だけで終わらせず、本人の気持ちと姉への態度を分けて考えるのも一つの方法です。役作りで本人が大切にした点を知ることで、身近な家族関係を描く場面に、より具体的な関心を持てます。
