イ・スンギュさんは、『僕らの恋愛シミュレーション』のシン・ギテ役と、『鉄槌教師』のリュ・ジュンヒョン役で、対照的な人物を演じています。久しぶりに会った初恋の相手と距離を縮める青年と、学校で他者を支配する生徒。二つの作品を並べると、恋愛劇と学園ドラマで役の目的が大きく変わることが分かります。
出演作から知る役柄
初恋から始まる再会
2023年の『僕らの恋愛シミュレーション』は、高校時代に離れ離れになった二人が、7年後にゲーム会社で再会するBLドラマです。イ・スンギュさんが演じるシン・ギテの前に、初恋の相手イ・ワンが面接を受けにやってきます。
ワンを演じるのはイ・ジョンヒョクさんです。ギテはワンへの思いを持ち続けており、再会によって終わったはずの関係が再び動き出します。過去を知る二人が、仕事をする大人として相手に向き合うところに、学園時代だけでは描けない関係の変化があります。
ギテはゲーム会社で働く優れたプログラマーでもあります。恋愛ゲームを作る職場と、本人たちの恋愛が同じ物語の中に置かれているため、題名の「シミュレーション」が人物関係にも重なります。過去に戻ることはできなくても、今の相手に何を伝えるかは選べる。そんな再会ものにひかれる方に合う作品です。
全8話という構成も、二人の関係を中心に出演作を知りたい場合の目安になります。大きな事件より、会えなかった時間をどう埋めるかに関心がある方には、入口に選びやすいドラマです。
『鉄槌教師』
2026年の『鉄槌教師』では、テハン高校の生徒リュ・ジュンヒョンを演じました。国会議員リュ・グァンピルを父に持ち、いじめの加害者として登場する人物です。
本作では、学校で起きる暴力を、教権保護局の監督官たちが調査し、介入していきます。ジュンヒョンの背景には、本人の言動に加えて、親の社会的地位があります。生徒同士の対立が学校の外にある権力ともつながる点を理解すると、物語の構図をつかみやすくなります。
『僕らの恋愛シミュレーション』のギテとは、人に近づく目的そのものが異なります。相手との関係を取り戻したい人物と、優位な立場から相手に力を及ぼす人物。その違いを比べたい方にとって、分かりやすい組み合わせです。
高校時代の恋愛劇
初期のドラマ出演には『@アカウントを削除しました』があります。イ・スンギュさんは、主人公ユ・ミンジェの元恋人チャ・ヒョンジンを演じました。ミンジェの過去に関わる人物として、現在の人間関係とは別の時間を物語に持ち込む役です。
『僕らの恋愛シミュレーション』と同じく、以前の関係が今の人物に影響するという共通点があります。ただし、ヒョンジンは主人公の過去に位置する人物で、ギテは再会後の関係を築く当事者です。同じ恋愛に関わる役でも、物語のどこに立つかで役割が変わっています。
人物を観察する姿勢
『鉄槌教師』について語ったインタビューでは、日常で目にした人物の特徴を記録し、今後の役作りの材料にするため記録を続けていると説明しています。すでにある人物像をそのまま再現するのではなく、自分なりに理解し直す姿勢が読み取れます。
この発言は、ジュンヒョンをどう準備したかを考える材料です。作品の中での行動を俳優本人の性格と結び付けず、一人の人物を成立させるために観察や解釈を重ねていると理解すると、役柄の違いにも目を向けやすくなります。
異なる関係をたどる
紹介した三作には、過去の関係を背負う元恋人、思いを持ち続けた初恋の相手、権力を背景にする加害生徒が登場します。どの役も、相手との距離が人物像を考える鍵になりますが、その距離を縮めることがよい結果につながるとは限りません。
恋愛劇では言えなかった思いや再会の意味を、学園ドラマでは強者と弱者の関係を追う。作品のジャンルに合わせて見方を変えると、同じ俳優の出演作を比較する楽しさが広がります。
初めて見るなら、二人の関係を中心にした『僕らの恋愛シミュレーション』、強い対立のある物語を選ぶなら『鉄槌教師』が候補です。片方を見て抱いた印象を、もう一方の役ではどう受け止めるか。その違いからイ・スンギュさんの出演作をたどってみてはいかがでしょうか。
