上映前の会場に、作品を心待ちにする観客の熱気と、登壇者たちの穏やかな言葉が重なります。今回紹介する動画は、映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の舞台挨拶付きプレミア上映会を収めた映像です。6月13日の日本公開に先立って行われたイベントで、主演のキム・ゴウンさん、ノ・サンヒョンさん、イ・オニ監督が登壇し、MCを俳優の上白石萌音さんが務めています。華やかなプレミア上映会でありながら、キャストと監督が作品に向き合ってきた時間を丁寧に語る、温度のある舞台挨拶動画です。
『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は、他人の目を気にせず自由奔放に生きるジェヒと、秘密を抱え孤独に生きるフンスが出会い、同居をきっかけに自分らしい生き方を見つめていく物語です。原作はパク・サンヨンさんのベストセラー小説で、日本では『大都会の愛し方』として読むことができる作品です。動画内では、韓国での評価に加え、公開前の期待感を示す情報として、試写会アンケートで満足度100%だったことも紹介されています。
冒頭では、上白石萌音さんが自身も一足先に映画を鑑賞し、感銘を受けた観客のひとりだと話しながら、作品の概要を紹介します。司会者であり、作品に心を動かされた観客の一人でもあるという立ち位置が、トーク全体をやわらかくしています。写真撮影やSNS投稿の案内もあり、会場にはプレミア上映会ならではの開かれた空気が流れています。
そんな作品について語るのは、『トッケビ』や『破墓/パミョ』で知られるキム・ゴウンさんと、『Pachinko パチンコ』で注目されたノ・サンヒョンさんです。2人がジェヒとフンスという役にどう向き合ったのかを本人の言葉で聞ける点は、この動画の大きな見どころです。キム・ゴウンさんは、台本を読んだときにその場で一気に読み進めてしまうほど引き込まれたと振り返ります。撮影に入る約2年半前に台本を読んでいたことにも触れ、この作品が長い時間をかけて大切に形になっていったことが伝わってきます。
ノ・サンヒョンさんは、シナリオの面白さに加え、キム・ゴウンさんとイ・オニ監督と一緒に作品を作れることが出演の決め手になったと話します。派手な言葉で飾るのではなく、共演者や監督への信頼を穏やかに伝える姿が印象的です。通訳を挟みながら進むトークの中でも、表情や言葉を選ぶ間から、作品への確かな手応えがにじみます。文字で読むだけでは伝わりきらない、舞台上の空気を感じられるところも映像ならではの魅力です。
中盤では、映画が主人公2人の20歳からの13年間を描いていることにちなみ、それぞれの20代についての話題に移ります。キム・ゴウンさんは、大学に誠実に通い、22歳でデビューしてから俳優として歩んできた時間を振り返ります。一方で、劇中のジェヒほど自由に遊ぶことはできなかったとも語り、映画の中のクラブシーンなどを通して、別の人生を少し体験するような感覚もあったことがうかがえます。
ノ・サンヒョンさんは、大学、モデルの仕事、演技、軍隊など、さまざまな経験を重ねた20代だったと語ります。さらに、アメリカで長く暮らした中でアイデンティティについて悩んだ時期があり、その記憶がフンスの抱える混乱を理解する助けになったと明かします。役柄と俳優自身の経験が静かに重なるこの部分は、作品のテーマをより身近に感じさせてくれる場面です。
イ・オニ監督の言葉で最も印象的なのは、ジェヒとフンスを「相手を通して自分自身を知っていく関係」として捉えている点です。監督は、自身の20代について、楽しもうとしながらも失敗を恐れていた時間だったと振り返ります。その心残りを、ジェヒとフンスの姿を通してもう一度見つめ直そうとしたのかもしれないという言葉には、作品に込められた個人的なまなざしも感じられます。2人の関係を単なる友情や同居生活としてではなく、自分らしく生きるための鏡のように見せていることが、このトークから伝わってきます。
トークが最も上映への期待を高めるのは、お気に入りのシーンに話が及ぶ場面です。キム・ゴウンさんは、終盤に登場するジェヒとフンスの場面に触れ、詳しい内容は明かせないものの、映画を見てよかったと思える場面だと語ります。ノ・サンヒョンさんは、中盤にある2人の衝突の場面を印象的だったシーンとして挙げ、親友だからこそぶつかり合う関係性が表れていると話します。イ・オニ監督は、エンディングが終わったと思った後にも大切な会話があるため、最後まで見逃さないでほしいと呼びかけます。核心には踏み込みすぎず、それでも最後まで見届けたくなる余白を残しているのが印象的です。
終盤では、監督とキャストから日本のファンへ向けたメッセージが送られます。ノ・サンヒョンさんは、言葉を選びながら日本語で思いを届けようとし、映画を楽しみ、心が温かくなる一日になったら嬉しいと伝えます。キム・ゴウンさんは、会場で観客に会えた喜びを率直に語り、肩の力を抜いて気楽に映画を楽しんでほしいと呼びかけます。華やかなイベントでありながら、言葉の一つひとつは自然で、観客との距離の近さを感じさせます。
トーク後にはフォトセッションも行われます。観客にも撮影が許可されたイベントらしく、客席と登壇者が同じ時間を共有している感覚が残る場面です。最後には、公開時の関連告知としてパンフレットや舞台挨拶配信にも触れられ、映画公開へ向けた盛り上がりがそのまま映像に残されています。韓国映画の舞台挨拶が好きな人や、俳優が役に向き合う言葉をじっくり聞きたい人におすすめです。映画を見る前にも、見終えた後にも、ジェヒとフンスの13年を少し違った角度から受け取れる一本です。
チャンネル名:oricon

