チョン・スンウォンさんは、『ユミの細胞たち』のナム課長、『模範刑事』のチ・マング、『悪の心を読む者たち』のナム・イリョンなど、仲間との関係の中で人物の個性を伝える俳優です。職場の先輩として親しみを感じさせることもあれば、事件を追う刑事として物語の緊張を支えることもあります。
名前をチョン・スヌォンと表記する媒体もありますが、韓国語では「정순원」。ここでは、会社員、刑事、保険会社代表、家族の一員という異なる役を通して、その出演作を紹介します。
関係をつくる存在感
チョン・スンウォンさんは1987年1月27日生まれ。長く演技の経験を積み、さまざまなジャンルのドラマに出演してきました。シリアスな物語と、気持ちがほぐれる場面の両方に関わる役があるのが、出演作を追う楽しさです。
2022年のインタビューでは、違う作品の人物を見て、同じ俳優だったと気づいてもらう反応を喜んでいました。自分の存在を強く示そうとする気持ちから、役や作品に向き合う姿勢へ変化してきたことも語っています。
そうした言葉を念頭に見ると、いつも同じ印象を残すために出演しているのではなく、その物語の中で誰とどう関わるかを大切にしていることが伝わります。頼れる同僚と、恋に不器用な先輩。それぞれの役の距離感が違う点に注目してみてください。
ナム課長の親しみ
2021年の『ユミの細胞たち』で演じるナム課長は、ユミが勤める会社の財務部の上司です。実直な性格で、仕事をする人たちの身近な関係を担っています。
この作品の中心は、ユミの恋と、彼女の内面を表す細胞たちです。それでも日々の舞台として会社があるからこそ、ユミは一人の社会人として見えてきます。ナム課長は、その職場を構成する人物の一人として登場します。
会社の先輩という立場と、自分の恋心には積極的になりきれない面が同居する役です。立場が上だから何でもうまくできるわけではなく、私生活では誰かに気持ちを伝える難しさを抱えている。その点に、身近な人物としての面白さがあります。
出演時のコメントでチョン・スンウォンさんは、役と同じ年齢だったこともあり、ナム課長の感情や考え方に共感する部分が多いと説明しました。仕事と片思いを真摯に表現したいという姿勢が、役への入口になっていたようです。
2022年の『ユミの細胞たち2』でも同役を担当。後輩への助言や応援を惜しまない先輩としての面と、イ・ユビさん演じるルビへの思いが描かれます。主人公の恋だけでなく、周囲の人たちにもそれぞれの気持ちがあることを楽しめる役です。
刑事仲間の一員として
2020年の『模範刑事』では、強力2チームの刑事チ・マングを演じました。ソン・ヒョンジュさん演じるカン・ドチャンと、チャン・スンジョさん演じるオ・ジヒョクを中心とする捜査劇に、チームの一員として参加しています。
マングは荒っぽいところがある一方、仲間への義理を大切にする人物。考えるより先に動くような面があり、捜査の緊張が続く場面の中では、ユーモアを担うこともあります。
刑事ドラマを見るとき、事件の真相や主人公二人の関係に目が向きがちです。しかし、実際に捜査を進めるのはチームです。マングのように異なる性格の同僚がいることで、捜査本部が一つの組織として感じられます。
作品を終えた際、チョン・スンウォンさんは、共演者やスタッフと過ごした現場への愛着を語っていました。共に働く仲間がいる役を演じるうえで、撮影現場での関係も大切な経験だったことがうかがえます。
2022年の『模範刑事2』にもマング役で出演しています。同じチームの再集合を楽しめるシリーズなので、人物同士の関係をじっくり見たい方には、第1作から順に見る方法が向いています。
現場を走る刑事
2022年の『悪の心を読む者たち』では、機動捜査隊の刑事ナム・イリョンを演じました。犯罪者の行動を分析する人々と、現場で事件を追う刑事たちが関わっていく作品です。
イリョンは、キム・ソジンさん演じるユン・テグと組んで働きます。思ったことを率直に口にし、現場で動く力を持つ人物。『模範刑事』と職業は同じでも、一緒に行動する相手や事件への向き合い方が異なります。
本作を楽しむうえで押さえたいのは、刑事と犯罪行動分析の担当者が、初めから同じ方法で物事を考えるわけではない点です。現場で得た経験と、行動の意味を読み解く視点。その間に立つ人々を見ていくと、捜査劇の広がりが感じられます。
チョン・スンウォンさんは、重大な事件をただの娯楽として扱わないようにする姿勢についても、作品に関する取材で語っています。犯罪を扱う物語の緊迫感だけでなく、事件に向き合う人々の真剣さを意識して見ると、イリョンの役割が伝わりやすくなります。
マングとイリョンを比べるなら、同じ刑事だから似ていると捉えるより、誰を信頼し、どんな集団の中で働いているかを追うのがおすすめです。共演者との関係によって、役の輪郭が変わることを楽しめます。
保険と友情が重なる役
2024年の『コネクション』では、保険会社の代表ホ・ジュソンを演じました。チソンさん演じるチャン・ジェギョン、チョン・ミドさん演じるオ・ユンジンらと高校時代からつながる人物です。
友人の死をきっかけに過去から続く関係が揺らぐサスペンスですが、ジュソンは刑事ではありません。保険という仕事が物語の出来事と関わり、同時に、昔からの友人を知る人としてそこにいます。
おしゃべりで気が弱い面を持ちながら、仕事には真剣な人物という設定です。事件に関わる人々が何を隠しているのか気になる作品の中で、相手を信じる気持ちをどう受け止めるかが、ジュソンを見る楽しさになります。
役作りでは保険の仕事に携わる人に会い、相手を心配し、予期しないことが起きたときに役立ちたいという考え方を聞いたそうです。商品や契約の説明だけで職業を捉えるのではなく、人への関心を役の土台に置くための経験だったと読めます。
この背景を知ると、ジュソンが友人に関わる場面を、単に事件の情報を渡す場面としてではなく、相手を気にかける人物の行動として見ることができます。結末を先に知るよりも、まずは彼の立場を押さえて物語に入るのがおすすめです。
チョン・スンウォンさんは、台本を読んだ段階で作品と役への愛着が強くなったと語っています。捜査する側の刑事役から、事件に巻き込まれる友人へと立場が変わるため、前の出演作を見た方にも新しい面が見つかります。
家族を支える役へ
2025年の『いつかは賢いレジデント生活』では、ク・スンウォンを演じました。若い医師たちが成長する医療ドラマの中で、家族の側から命や暮らしに向き合う人物です。
スンウォンには、妊娠を望み治療に取り組む妻を支える役割があります。事件の真相を追う刑事や、会社で後輩と接する上司とは異なり、すぐには答えの出ないことを身近な人と受け止める関係が描かれます。
何かを解決する行動力だけが、相手を支える方法とは限りません。そばにいて不安を共有することも、人との関係の大切な一面です。これまでの役との違いを感じながら、夫婦が置かれた状況を見守れる作品です。
共演者とつくる役
2024年の取材では、『コネクション』で共演したチソンさんについて、俳優としても父親としても学ぶことが多い先輩だと話しています。自分一人で役を完成させるのではなく、共演者から受ける刺激も仕事の中にあることが伝わります。
チョン・スンウォンさんの出演作を並べると、チーム、会社、友人、夫婦と、誰かとつながる役が続きます。場面の中心にいる人物だけを見るのではなく、その隣で誰が何を受け止めているかに目を向けると、彼の仕事がより見つけやすくなります。
次の一本を選ぶなら
親しみやすいナム課長から入りたいなら『ユミの細胞たち』、捜査チームの会話や連携が好きなら『模範刑事』シリーズが向いています。重みのある犯罪ドラマを見たいときには『悪の心を読む者たち』、友情と疑念が交差する物語なら『コネクション』がおすすめです。
チョン・スンウォンさんは、ジャンルが変わるたびに、人物同士の距離も変えて見せてくれます。一つの出演作で顔を覚えたら、次は職業や関係が異なる役へ進んでみてください。見慣れた俳優から、まだ知らなかった人物像が見えてきます。
