『イ・ユビ』代表作と出演ドラマ|ルビ役から『7人の脱出』まで広がる演技

イ・ユビさんは、明るく率直な人物から、秘密を守るために他人を傷つける人物まで演じてきた韓国の俳優です。時代劇、医療ロマンス、復讐劇とジャンルを横断する出演作が並びます。ルビ役で親しみを持った方も、作品を変えると大きく異なる立場のイ・ユビさんに出会えます。役柄とともに、俳優としての歩みや近年の出演を紹介します。

目次

代表作で知る魅力

本を売る男装の女性

2015年の『夜を歩く士〈ソンビ〉』は、イ・ユビさんがドラマで初主演を務めた作品です。役は男装して書物を売るチョ・ヤンソン。家族の暮らしを支えながら、本を探す依頼をきっかけに、イ・ジュンギさん演じるキム・ソンヨルと関わるようになります。

ソンヨルは人間の心を持ちながら、吸血鬼として長い年月を生きてきた人物です。対するヤンソンには、日々の仕事と家族の生活があります。二人の出会いは、本を通じて日常と非日常が接する場面でもあります。ヤンソンの人を放っておけない性格が、孤独を抱えたソンヨルとの関係を動かしていきます。

ヤンソンは作家を志す人物でもあり、物語を信じる気持ちを持っています。そのため、書物は単なる商売道具にとどまりません。自分の夢と、目の前で起こる危険な出来事が結びつく役です。恋愛だけでなく、秘密を抱えた世界で誰を信じるかという選択を追うと、ヒロインの行動が持つ意味を楽しめます。

明るい人柄と、相手のために危険を引き受ける強さ。その両方を求められるヤンソンは、イ・ユビさんの柔らかな印象を入口にしながら、物語の中心で感情を担う姿を見られる役柄です。

詩を愛する理学療法士

2018年の『ラブ・セラピー A POEM A DAY』では、理学療法士ウ・ボヨンを演じました。ボヨンは契約職員として働き、正職員になることを目指す女性です。詩が好きで涙もろく、仕事にも恋にも一生懸命。患者を支える仕事をしながら、本人も言葉に励まされています。

恋の相手となるのは、イ・ジュニョクさん演じる理学療法士イェ・ジェウクです。仕事では厳しく、簡単には心の内を見せない相手に惹かれていくことで、職場の関係と個人的な感情が重なります。恋愛の成就だけでなく、働き続けたいという願いがヒロインの生活にある点も大切です。

日本の公式サイトでは、役作りのために病院を見学し、その時に記録した動きを見ながら練習したことが紹介されています。恋をする表情に加え、職業を持つ人としてどう振る舞うかを準備したことがわかります。患者や同僚と接する場面にも目を向けると、恋愛ドラマの中にある仕事の時間を受け取れます。

ボヨンは感情を隠すことが得意な人物ではありません。傷つきやすさや涙もろさが、同時に他人の痛みを感じ取る力にもなる。弱さと優しさを分けずに見ることで、彼女の魅力に近づける作品です。

『7人の脱出』

2023年の『7人の脱出』では、アイドルとして成功することを夢見るハン・モネを演じています。学校では人を引きつける人気者でありながら、隠している秘密のためにパン・ダミを利用します。チョン・ラエルさんが演じるダミに親切に近づく行為そのものが、物語の危うい出発点です。

モネは、他人から好かれる顔と、自分のために行動する内面が一致しない人物です。贈り物や好意によって周囲を味方につけながら、成功の障害になりそうなことを避けようとする。そのため、見る側は彼女の言葉をそのまま信じられません。親しみやすさが安心とは限らない役を、イ・ユビさんが担っています。

2024年の『7人の脱出 season2―リベンジ―』にも同じ役で出演しました。自分の行動がもたらした事態から逃れられず、他者の復讐の標的にもなるモネ。シリーズを通して見ると、秘密を隠すための選択が、その後の人間関係をどのように変えるかを追うことができます。

人を支えるボヨンやヤンソンに親しんだ後で見ると、同じ俳優が演じる人物でも、相手への近づき方がこれほど違うのかと感じられます。善悪を自分の中だけで決めつけず、人物が何を守ろうとしているかに注目すると、役の複雑さが見えてきます。

声楽から演技の道へ

イ・ユビさんは1990年11月22日生まれ。梨花女子大学で声楽を学び、2011年に俳優デビューしました。韓国映画振興委員会の人物紹介によると、幼い頃から歌を学び、大学で音楽を学んでいた時期に演技の道を考えるようになったとされています。

母親が俳優だからと、初めから同じ道だけを考えていたわけではありません。自分でオーディションに挑戦し、仕事として演技を始めた歩みがあります。音楽を学んだ経歴と俳優としての活動は分けて捉えつつ、表現への関心が形を変えて広がっていったことがわかります。

2012年の『優しい男』では、ソン・ジュンギさん演じる主人公の妹役で注目を集めました。続く出演で、家族の一員を演じる役から、働く若者や物語の中心を担う女性へと経験を重ねていきます。

2014年から2015年に放送された『ピノキオ』では、YGNの研修記者ユン・ユレを担当しました。有名人の追っかけだった経験を持つユレは、イ・ジョンソクさん演じるダルポと同じ現場で記者として働きます。報道という責任のある仕事と、思い込みや勘違いもある若者らしさが同居する役です。

感情と目的の違い

イ・ユビさんの役柄を比較する時、明るいか暗いかという分け方だけでは見えない部分があります。ボヨンは気持ちが自然に表へ出る人で、モネは周囲に見せたい自分を作ろうとする人。二人とも感情の動きが大きい人物ですが、相手に対して何を隠し、何を伝えたいのかが異なります。

ヤンソンもまた、男装という秘密を抱えています。ただし、その秘密はモネの策略と同じ意味ではありません。生きるための事情と、他人を利用するための嘘では、見る側の受け取り方が違います。人物が秘密を持つ理由まで考えると、作品を越えた比較がいっそう面白くなります。

『ピノキオ』のユレの勘違いは、周囲との関係を思わぬ方向へ動かします。『7人の脱出』のモネは、他人に誤解させることを自分のために使います。似た言葉で説明できる出来事にも、人物の意図によって笑いと恐ろしさの差が生まれる。異なるジャンルで演じる面白さが、ここにもあります。

職業の違いにも注目したいところです。本を扱うヤンソン、患者と向き合うボヨン、情報を追うユレ、スターを目指すモネ。それぞれの仕事や目標が、誰と会い、どんな言葉を交わすかを決めています。役の感情を職業や生活から見ると、単に印象の違う人物という以上の広がりが感じられます。

受賞が示す転機

イ・ユビさんは『7人の脱出』で、2023年SBS演技大賞のミニシリーズ・ジャンル部門女性優秀演技賞を受賞しました。翌2024年には続編で、シーズン制ドラマ部門女性優秀演技賞を受賞しています。同じ人物を演じ続けた二つの作品で、演技が評価されたことになります。

2024年の授賞式では、モネを演じるうえで制作陣やスタッフから励まされたことを語り、演技を通じて多くの人に共感してもらえる俳優になりたいという思いを伝えました。人物の行動を肯定することと、その感情を演じることは別です。強い欲望を持つ役に取り組んだ経験が、本人の演技への考えにもつながったと受け取れます。

俳優としての家族

母は俳優のキョン・ミリさん、妹は俳優のイ・ダインさんです。家族にも同じ仕事をする人がいることは、イ・ユビさんの経歴を知るうえでよく紹介される事実です。一方で、出演作や役柄はそれぞれ異なり、三人を一つのイメージで捉える必要はありません。

イ・ダインさんは2020年のインタビューで、姉の仕事ぶりを誇らしく思ったことを語る一方、姉妹では演技の話をあまりしないとも明かしています。同じ職業に就いていても、家族としての関わり方は一様ではない。その言葉から、俳優という肩書きだけでは説明しきれない姉妹の日常が少しうかがえます。

ルビ役への再登場

2026年10月25日時点で確認できる近年の出演として、『ユミの細胞たち3』への特別出演があります。2026年4月に公開された序盤で、イ・ユビさんは再びルビ役を演じました。シリーズを見てきた方には、ユミの周囲の人間関係が続いていることを感じさせる再登場です。

ルビは『ユミの細胞たち』から登場し、『ユミの細胞たち2』にも出演した人物です。キム・ゴウンさん演じるユミと関わり、率直で積極的な言動によって日常に変化を起こします。長い時間をかけて同じ人物に再会できるのも、シリーズ作品ならではの楽しみです。

『7人の脱出』シリーズでモネを演じた後に、ルビとして戻ったことにも注目できます。欲望と秘密が渦巻く世界から、恋や生活の小さな心の動きを描く世界へ。これまで築いてきた役柄を持ちながら、違う人物へ切り替える俳優の幅が感じられます。

最初に見るなら

穏やかな恋と仕事の物語から入りたい方には『ラブ・セラピー A POEM A DAY』が向いています。ボヨンの働く姿と、詩に支えられる気持ちをたどりながら、身近なヒロインとしての魅力を楽しめます。ファンタジーと時代劇が好きなら『夜を歩く士〈ソンビ〉』を選ぶと、非日常の中で恋を育てる役に出会えます。

役の振れ幅を知りたい時には、その後で『7人の脱出』を見るのがおすすめです。人物の親しみやすさと、行動の正しさは同じではない。その違いを意識すると、イ・ユビさんが担う人物像の変化をよりはっきりと受け取れます。

イ・ユビさんの出演ドラマは、率直な感情、生活を守る強さ、成功への執着といった異なる思いを映します。親しみのあるルビ役を入口に、別の作品でどんな目的を持つ人物を演じているかにも目を向けてみてください。

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